経団連に久々の“本格派”会長が誕生する。同会長人事は近年、本命候補が固辞するなどして2番手以下が就任するケースが続いた。だが今回は違った。大本命だった日立製作所会長の中西宏明氏がそのまま会長就任を引き受けたのだ。
現会長の榊原定征氏は政府との関係修復を重視するあまり、「政権の言いなり」と批判されるなど存在感を発揮できなかった。
これに対して中西氏が政権に物を言えるかはともかく、その“押し”の強さは折り紙付きだ。
これまで経団連会長が活躍するには出身企業の支援体制が必要とされてきたが、中西氏は会長内定後の会見で、「今は(トップの)個性が引っ張る時代だ」と繰り返し強調。財界と距離を置いてきた日立には経団連会長を支える組織力が足りないとの指摘を一蹴した。
中西氏には2008年度に7873億円の最終赤字を出した日立をV字回復させた実績がある。では、その個性と指導力で今後、何を企てようとしているのか。
川村東電会長と再び共闘か
あまり報じられていないが、中西氏は前述の会見で「原発再稼働は必須」とした上で、海外で再生可能エネルギーが急速に普及していることを指摘し、「(火力発電に依存した)電力政策では日本は世界から非難を浴びる。経団連はもっと積極的に発言していく」と決意を語った。