不正融資問題を起こした政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)。不正を生んだ“ノルマ重視”の体質を、どう変えていくのか。今年3月に就任した、関根正裕社長に道筋を聞いた。

商工組合中央金庫社長 関根正裕Photo by Takahisa Suzuki

──商工中金は、災害などで業績が悪化した企業を支援する制度融資において、財務諸表を職員が改ざんして対象外の企業にも融資を行うという不正を行いました。何が原因だったとみていますか。

 これまでは、コンプライアンスを置き去りにし、業績を上げることを優先し過ぎていました。

 そのため、本来ならば顧客に向けるべき職員のエネルギーが、上司のために、仲間のためにと社内に向いていたのです。この方向が間違っていたと考えています。

──不正の原因の一つとして、第三者委員会は過度な営業ノルマを指摘しています。ノルマ体質からどう脱却するのでしょうか。

 職員がノルマに追われたのは、会社として制度融資に設定した目標が顧客の需要と乖離していたことが原因ですが、その裏には組織の風通しの悪さがあります。

 もし企業が置かれている経済環境が、現場から本部、そして経営層に上がっていたら、目標を修正できたでしょう。しかし、そうした声は上がってきませんでした。

 こうした風通しの悪さを改善するために、業績評価と人事評価をゼロから見直し、同時に組織体系を見直しています。