国の融資制度を利用して不正を繰り返していた商工中金について、所管省庁は連名で処分を行い、中小企業庁に「商工中金の在り方検討会」を設置して、年内をめどに検討が行われている。世耕経産大臣は「解体的見直し」を行うと言及したが、実態はかけ離れたものになりそうだ。(室伏政策研究室代表・政策コンサルタント 室伏謙一)
“組織ぐるみ”の規模で
行われた商工中金の不正
昨年10月に危機対応業務をめぐる不正が発覚した株式会社商工組合中央金庫(以下、商工中金)、その後の調査で、“組織ぐるみ”と言ってもいい規模で不正が行われていたことが判明した。
商工中金を所管する金融庁、財務省および経済産業省は、商工中金法第59条に基づき連名で処分を行うとともに、中小企業庁に「商工中金の在り方検討会」を設置し、年内をめどに幅広く検討が行われることとなった。
世耕経産大臣は「解体的見直し」を行うと繰り返し言及、抜本的な改革に向けて大ナタが振るわれるものと想定されているが、実態はどうやらそれとはかけ離れたものになりそうである。
まず、商工中金とはどんな組織なのだろうか?
渦中の商工中金は、昭和11年に中小企業等協同組合など、主として中小規模の事業者を構成員とする団体に対する、金融の円滑化を図るために設立された。中小企業組合や組合員中小企業に対する総合金融サービスを提供する、フルバンク機能を有する金融機関である。
平成20年に株式のうち46.5%を政府が保有し、残りの53.5%を中小企業組合およびその組合員中小企業等が保有する形で株式会社化されている。