大塚 昨今の物流業界では、まさにシワ寄せを食ったドライバーさんの労働環境が過酷になって、深刻な人材不足で物流業界全体が危機になっていると言えます。だから僕らは、パートナーであるメーカーや運送会社のドライバーさんたちと、バトンリレーに関わる全工程の仕事を一緒に見直すことで、仕事の総量そのものが減る形で、抜本的な問題解決をする必要があると思ったんです。

小室 それが、外部のドライバーの残業削減に取り組むという話につながるわけですね。

荷降ろしのために真夜中から
トラックが待機している異常さ

大塚 問題に気付いたのは、新しい倉庫がオープンしたときでした。朝一番の荷降ろしのためにトラックが20台くらい並んでいるのを目にしたので、何時から並んでいたのか調査したところ、「昨夜23時からです」というようなドライバーが続出したので、「なんだ、これは」と。

大塚太郎(おおつか・たろう)
大塚倉庫代表取締役会長。1974年生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、1997年、大塚製薬に入社。オロナミンCブランドマネージャー、ポカリスエットブランドマネージャーなどを経て、2008年、大塚ベバレジ代表取締役社長、2011年、大塚倉庫株式会社代表取締役社長に就任。2014年から現職。ヒューマンライツウォッチ東京委員会理事、世界経済フォーラムの選出するヤンググローバルリーダー2013に選出されるなど多方面で活動

小室 どうして、そうなってしまうんですか。

大塚 たとえば倉庫側が「朝の9時から荷降ろしできます」というとき、1時間で6台荷降ろしができるとしますよね。そこにトラックが18台並んでいた場合、18番目に来たトラックは荷降ろしが3時間後の12時になってしまう。そうなると次の仕事の段取りが狂ってしまうので、前日の仕事が終わったらすぐ順番待ちの列に並んで翌朝を待つわけです。

小室 車中泊をしながら待つわけですから、家族と一緒に寝ることもできないんですね。

大塚 その状況を見ていて、だったら予約制にしたほうがいいんじゃないか、と。

 僕たちも、風邪を引いて内科のクリニックに行くとき、たくさん人が待っていて何時に診察してもらえるかわからないことがありますよね。一方で歯医者さんの場合は、3時に予約をしたら、多少前後してもその時間に診察してもらえます。

小室 「歯医者さん方式」のほうが患者さんにとっては便利ですよね。