6月8日に全国各地で上映がスタートした是枝裕和監督の『万引き家族』。第71回カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞作品とあって国内でも注目度が高いが、それはお隣の中国でも同様のようだ。中国の経済メディア「第一財経」の記事を転載する。

是枝裕和監督の「万引き家族」がカンヌ最高賞「万引き家族」がカンヌ映画祭で最高賞を受賞し、是枝裕和監督が会見した Photo:Rodrigo Reyes Marin/Aflo

「さすがに足が震えています」

 黒いスーツに蝶ネクタイというファッションで、第71回カンヌ国際映画祭の受賞台に立った是枝裕和監督(55)が見せた、恥ずかしそうにパルムドール賞のトロフィーを掲げる様子には、率直で、愛嬌がある印象を受ける。

 是枝監督は、「万引き家族」がカンヌで上映された日、すごく緊張していたが、上映終了後、会場で拍手が9分間鳴り響いてから、ようやくほっとしたという。是枝監督は「終わった後の拍手があんな風に温かく、そして長くいただけたので、本当によかったと思います」と感想を述べている。

昨年の北京国際映画祭で
是枝作品の上映チケットは即完売

 是枝監督受賞のニュースはすぐに中国の映画ファンの「朋友圏(モーメンツ)」にアップされ、次々と拡散されていった。過去、幸運にも是枝監督に会った人の中には、感激の気持ちを伝えるために、監督との記念写真を次々にネット上にアップしていた。

 外国の映画監督の受賞が、これほど広く注目されたことはなかった。「是枝裕和ブーム」はここ数年中国で起こっている現象だ。昨年、北京国際映画祭で是枝裕和回顧展が催され、是枝監督の映画8作品のチケットはわずか46秒で売り切れた。このことは是枝監督の影響力の大きさを示している。

 是枝監督はカンヌ国際映画祭の「常連」ともいえ、出品回数は7回に上る。2004年の「誰も知らない」で当時14歳の柳楽優弥(やぎらゆうや)は同映画祭で史上最年少の男優賞に輝いた。

 今回の『万引き家族』の受賞で、パルムドール賞に輝いた日本映画は5本となった。これまで、1953年に衣笠貞之助の『地獄門』、1980年に黒澤明の『影武者』、1983年に今村昌平の『楢山節考』(ならやまぶしこう)、1997年に今村昌平の『うなぎ』がパルムドール賞に輝いている。