現在、アメリカ市場における乗用車セールス首位モデル「カムリ」の作り手、トヨタ自動車の幹部は「伝統的なセダンモデルが根本的に時代の流れに合わなくなり、将来性がなくなったと断定するのは早計。うちは顧客の消費動向や環境規制がどっちの方向に振れてもいいよう受け皿を準備する方針を維持する」と語る。

 2017年は乗用車の販売が前年に比べて17%減と、セダン離れが一気に加速したが、それでも乗用車とライトトラックの販売比率はおおむね27:73。ライトトラックの1090万台に比べると見劣りするものの、乗用車の販売台数も激減してなお630万台以上。数字だけを見れば見捨てるにはもったいないようにも思える。

背景にあるのは
投資ファンドの意向!?

 そのアメリカの乗用車マーケットをフォードはなぜ捨てるのか。その背景にあるのは、利益率の低さに業を煮やした投資ファンドの意向だろうと金融業会関係者は言う。

「フォードの2017年の決算は、売上高こそ伸ばしたものの、本業での儲けぶりを示す営業利益率は壊滅的に低い数値に終わったのですが、その主因は北米主体の乗用車事業でした。そこを大株主に突かれ、決断を迫られた可能性が大きい。フォードの2大株主はヴァンガードとブラックロックですが、どちらも世界に知られた“肉食系”ファンド。今後の市場動向を立ち止まって様子見などという甘っちょろい経営を許すわけがない」

 フォードは昨年、マツダの社長経験もあるマーク・フィールズCEO(最高経営責任者)が解任され、ジム・ハケットCEOが誕生した。投資グループからの突き上げはフィールズ政権時代からきつく、日本市場からフォードが突然退場したのもその結果と言われている。

 経営不振による株価下落の責任を負わされる形でフィールズ氏がフォードを去る。その後継者には創業家一族のビル・フォード会長の覚えがめでたいハケット氏が選ばれた。