投資デビューするなら、
入門書を読むのはマスト
前回、投資で失敗しないためには「高い手数料のものは買わない」「多額で投資しない」「金融機関には相談してはいけない」という3つの鉄則があることを書いた。投資には確実に儲かる“正解”はないが、失敗を減らすためのコツはある。この3つの「やってはいけない」ことを押さえておくと、大きなソンを避けることができる。
投資初心者は「金融機関に相談してはいけない」と言われるのは、つらいようだ。はじめてなんだから、相談しないと何を買っていいのかわからない、と困惑する。誰かに選んでもらいたい気持ちは理解できる。私もFPになっていなかったら、「相談禁止」と言われたら途方に暮れるだろう。
だが前回述べた通り、銀行や証券会社は私たちと利益相反の関係なのだから、相談相手には不適格である。先方の商売の効率を考えると、少額の投資も歓迎されるはずがない。
では、投資デビューはどのようにするといいのか。投資の入門書などで予備知識を仕入れたうえで「自分で商品を選ぶ」のがいい。資産運用術は学校でも会社でも教えてもらっていないのだから、仕組みなど基礎知識を身につけるのは避けてはいけないプロセスだ。体系的に学べるのは書籍で、たいていの著者は「高い手数料のものは買ってはいけない」と書いている。
本1冊を読むか読まないかで知識量は大きく異なることを知っておこう。退職金を銀行に預けたままにしておいたら、投資信託の提案を受けたので購入する前に相談したいというケースが最近増えている。相談申し込みの段階で話を聞いてみると、買うことをほとんど決めていて私に背中を押してもらいたいようだ。
しかし、銀行から勧められている商品は、手数料が高く、売れ筋ランキング上位のものばかり(ランキング上位のものがいい商品とは限らない)。そういうときは「相談日まで日にちがあるので、投資入門の本を読んでみてはどうですか」と言ってみる。
私に言われた通りに投資関連の本を読んでから来る相談者は、たいてい銀行から勧められた商品を買うのをやめる。「本を読んだら、高い手数料のものは買ってはいけないと書いてあり、銀行に勧められているのがまさに高い手数料のものだった」と言う(ちなみに書籍名は特に指定していない)。買わないほうがいいと自分で気がついてくれると、こちらとしてもありがたい。