その一方で、「性犯罪加害者になる可能性がある」ことや、「同意なく人に触ってはダメ」と教えることはない。

 そんなの当たり前だから教えないとか、教えたってどうせやるヤツはやる、という意見もあるかもしれない。しかしもし、一次予防としての教育が少しでも予備軍を減らすことにつながるのであれば、対策として試したいところだ。どのような一次予防が考えられるか。専門家2人に話を聞いた。

強制性交
知り合いからの被害が9割

 性犯罪には、知り合いによる被害と、そうではない相手からの被害がある。今回は、知り合いに対して性暴力を行ってしまう場合と、まったく知らない相手に性暴力を行う場合によって、必要な「教育」はやや異なるのではないかと仮定して、話を聞いた。

 一般的に性犯罪は「見知らぬ相手からの被害」と想像されがちだが、例えば「強制性交等罪(旧・強姦罪)」にあたる行為の場合、加害者が「まったく知らない人」だった割合は1割に過ぎなかったという調査がある(内閣府「男女間における暴力に関する調査」平成29年度調査)。同調査では、女性の約13人に1人、男性の約67人に1人が「無理やり性交等をされた経験がある」と答えている。

 知り合いの間で起こる性暴力とは、例えば、配偶者やパートナー(元配偶者、元パートナー)からの被害。また、職場の関係者や友人、親、きょうだい、親戚など。加害者側は、「同意があった」「相手もその気だった」と思い込んでいる場合も多い。

 筆者がこれまでに被害者に取材したケースでも、特に強制性交については、知り合いからの被害が多いという印象がある。「仕事の話がしたい」と誘い出されて被害に遭ったり、友達の恋人に相談があると呼び出されて被害に遭ったケースもあった。また、別れ話を切り出した際に、相手から「最後にセックスさせろ」と言われるようなケースもあった。