224人。これは2015年度にわいせつ行為で処分を受けた公立小中高校の教員数(文部科学省調べ)だ。このうち懲戒免職者数は118人。1990年代と比べ、同行為で処分を受ける教員の数は目立って増えている。これまで隠されがちだったわいせつ事件の告発が増えたためと考えられるが、一方でこれもまだ「氷山の一角」という声もある。なぜ教師によるわいせつ事件は起こるのか。「学校」という特殊な場所で起こる教師から生徒への性的な加害について、『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』(幻冬舎文庫)著書の池谷孝司さんに話を聞いた。(取材・文/小川たまか、プレスラボ)
教師のわいせつ行為の処分は
1990年に比べ10倍に
4月27日、愛知県教育委員会は県教委の50代男性職員を懲戒免職処分とした。8年以上前に複数の教え子に対してわいせつ行為を行っていたことが発覚、その後、県立高校の教頭から県教委に異動していた。大阪府堺市では、50代の男性の高校教諭が、部活動で指導していた女子生徒を呼び出し、校内で全裸にさせるなどの行為を行っていたことが明らかになり、5月29日付で懲戒免職処分となっている。
わいせつ行為で処分を受けた公立小中高校の教員数(2015年度)は224人。1990年度(22人)から比べ、約10倍に増えていることがわかる。これはこの20年で倫理観のない教師が増えたからというわけではなく、明るみに出る事件が増えたためと考えるのが妥当だろう。
『スクールセクハラ』の著者で共同通信社の記者、池谷孝司さんは同書の中で、2001年7月に起こった事件がきっかけとなり、「文科省がようやく重い腰を上げ、教師によるわいせつ行為には原則、懲戒免職で臨む方針に転じた」と指摘している。中学教師が女子中学生に手錠をかけて監禁し、逃げ出そうとした中学生が死亡した事件だ。
同書は、学校内で起きた、教師から生徒への性暴力を告発した一冊だ。被害経験を忘れられず長い間苦しみ続ける生徒と、「同意だったはず」と主張する罪悪感のない教師。