シリコンバレーに新しく赴任した日本企業の方と話していて、驚かされることがある。私がその方の会社が過去、シリコンバレーで投資活動をして、それと連携して日本での新事業創造に意欲的に取り組んでいたことを話すと、ほとんどのケースで、その事実を知らされていないのだ。
自社の過去のシリコンバレーでの経験が伝承されておらず、その方は、過去の赴任者と同じステップを繰り返すことになる。まずはシリコンバレーのエコシステムを勉強し、気の利いたベンチャー情報はないかとスタートアップが集まるイベントに参加する。その間、本社からの問い合わせに答えつつ、お眼鏡にかなったスタートアップにコンタクトする。そして数年したらその赴任者は帰国し、次の赴任者と交代。前任者が得た経験や人脈はリセットされ、再び同じサイクルが繰り返される。まるで、ジョン万次郎を3年ごとに交代させているようなものなのだ。
こうした日本企業の行動は、少なくとも20年以上前から変わらない。学習が進まない日本企業の姿に、毎度、残念な気持ちになる。