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要約者レビュー

「現場力」「見える化」といったコンセプトを提唱し、日本の経営コンサルティングのフロントランナーとして走りつづけてきた遠藤功氏の新刊がこちら 。本書『生きている会社、死んでいる会社』の価値は、30年にわたりコンサルタントとして多くの現場を見てきた著者の肌感覚から生まれたライブ感にある。

生きている会社、死んでいる会社『生きている会社、死んでいる会社』
遠藤功、 394ページ、東洋経済新報社、1800円(税別)

 それが集約されたのが、本書のタイトルにもなっている「生きている会社」というキーワードである。「生きている会社、死んでいる会社」(Dead or Alive)とは、いかにも大仰な言い回しかもしれない。しかし、これを「社員の目が」生きている会社、死んでいる会社、と補ってみたらいかがだろうか。ある会社、あるいはある部署のドアを開けた瞬間の、誰もが直観的に感じる空気が伝わってくるはずだ。

 本書では、20社を超える「生きている会社」の事例に加えて、ネガティブな事例も紹介されている。 そこからは「日本には死んでいる会社があまりにも多い」という著者の嘆きが聞こえてくるようだ。もちろん著者は、その現状を指摘し、嘆いているだけではない。30年にわたる経験をもとに発見した、「死んでいる会社」を蘇生させる処方箋を紹介している 。そのなかでポイントをひとつ挙げるとすれば、「代謝戦略」であろう。会社はやがて老いていくものであるから、会社として価値を創造しつづけるためには「事業」「業務」「組織」「人」の4つを新陳代謝するよう心がけなければならないという。

 よい会社・悪い会社の定義は世の中に数多あるが、それを「生き死に」(Dead or Alive)に例えた著者渾身の提言にぜひ耳を傾けていただきたい。 (しいたに)

本書の要点

(1) 会社の目的は「独自価値を創造しつづけること」だ。ただし、会社が老化するとそれは難しくなる。老化を防ぐために、会社は新陳代謝しなければならない。
(2) 会社には「経済体」「共同体」「生命体」の3つの側面がある。そのうち「生命体」こそ会社の核心だ。会社は、キラキラ輝き、逞しく、みなぎる力に溢れる生命体であるべきだ。
(3) 生きている会社の条件は、「熱」(ほとばしる情熱)、「理」(徹底した理詰め)、「情」(社員の心の充足)の3つだ。その結果、「利」(利益)と「魂」(spirit)が生まれる。