労働市場改革を中心に
着実に前進する経済改革

 マクロン大統領の経済改革の中でも、労働市場改革は着実に進捗している。労働市場改革の目的は、雇用と賃金の両面で労働市場の調整能力を高めることにある。

 雇用面では、解雇補償額(解雇後の求職期間中の生活支援のための補償金)の上限引き下げやグローバル企業の解雇要件の緩和(グループ全体の経営環境を踏まえた決断からフランス事業単体の収益悪化を踏まえた決断へ)及び解雇不服申立期間の短縮(2年から1年へ)が実現した。賃金面では賃金交渉の弾力化が実現した(業種単位での労働協約を優先する方針から企業単位での労使協定を優先する方針へ)。いずれも18年1月から実施されている。

 他方で、税制改革は今後の課題である。先行しているのは増税措置であり、具体的には社会保障費を賄う一般社会税(CSG)が18年から引き上げられ、給与所得の場合で7.5%から9.2%へ税率が上昇した。他方で、減税措置は22年までに段階的に行われる予定である。その中心を成す法人税の減税については、22年までに現行の33.3%から25.0%へ引き下げることを予定している。

 同時に、企業収益を改善させて設備投資を活性化させる目的から、社会保険料負担額の軽減も検討されている。家計向けには、22年までに80%の世帯を対象として地方住民税を廃止する計画である。なお、富裕税(ISF)の減税(課税対象資産を不動産に限定)やキャピタルゲイン減税(30%のフラットタックス導入)は、19年までに先行して行われる予定である。

 その他の改革に関しては、財政改革の一環としてマクロ数値目標(財政赤字の対GDP比率の引き下げなど)が設定されるとともに、公務員削減(12万人)が計画されている。また環境保護や労働政策、産業活性化、デジタル化に主軸を置く総額570億ユーロ(約7.3兆円)の巨大投資計画の実施が想定されているものの、現状では具体的な進展は見られない。なお18年3月には人口知能(AI)分野への投資戦略も発表されており、22年までに15億ユーロ(約1900億円)の投資が行われる計画となっている。