エルサレムをイスラエルの首都として大使館を移転させ、イラン核合意から離脱している。それによって、ユダヤ人ロビーおよびキリスト教原理主義者たちの支持を得ようとするとともに、中東地域に緊張を作り出すことで石油価格を上昇させ、アメリカの石油メジャーやシェールオイル業者の利益を誘導していることは明らかだ。

 19日に表明した国連人権理事会からの離脱も、親イスラエルを一段と鮮明にし、国際機関や国際協調を軽視するものだ。

 人権理事会は5月に、一方的なエルサレムへの首都移転に反発し、パレスチナ自治区のガザで起きたデモ隊とイスラエル軍の衝突に関し、国際調査団の派遣を可決したが、米国はイスラエル擁護で反対した経緯がある。

 また6月12日の米朝首脳会談を含むトランプ大統領の北朝鮮対応について、調査会社IPSOSなどが会談翌日に発表した世論調査によると、米国民の51%が支持している。

 支持は、トランプ政権の政策が「緊張緩和」で一貫しているからではなく、実益を重視するビジネスマン的なディールにリアリティを感じている層がいるからだろう。

 もちろん北朝鮮は独裁国家であり、トランプ大統領も言うことがころころ変わり、さらに最終的に米朝間で平和条約を結ぶにはアメリカ議会の承認を必要とする以上、楽観論は許されない。

 また米韓合同軍事演習を中止したのは中国側を利するという声や、CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)が明記されていないという批判も出ている。

 だが、むしろこの点にこそ米朝会談の画期的な意義があると言ってよい。

 北朝鮮はいまだに朝鮮戦争の最中にあり、戦時体制の軍事国家だ。彼らを「瀬戸際外交」に走らせてきたのも、イラク戦争やリビアで起きた米国による体制の「暴力的破壊」があったからだ。

 それに対し今回が違うのは、戦争状態という条件を取り除くことに一歩踏み出したと言えるからだ。その意味は大きい。

 こうした戦争状態を終結させようとする交渉姿勢は、冷戦型の思考が残る「ワシントン・ポリティックスの論理」をとる既存の政治家・外交専門家ではできなかっただろう。

 彼らが言うように軍事的圧力を強調すればするほど、北朝鮮を追い込んで、戦争リスクを高めることになるからだ。それでは、この軍事的緊張関係を政治的に利用する軍産複合体とナショナリズムの政治が永遠に続くだけで、問題の根本的解決にはつながらない。

 そうではなく世論に忠実な「ポピュリズム」であるがゆえに、知的エリートたちが前提としてきた「ワシントン・ポリティックスの論理」を脱することが可能になるのだ。