穏やかな休日となったベトナムの旧市街欧米メディアは一斉に報じた。穏やかな休日となった旧市街 Photo by Konatsu Himeda

ベトナムで頻発し
激化する反中デモ

「6月16日(土)、17日(日)にハノイ市でデモが予定されています。旧市街付近は近寄らないよう気をつけてください」

 6月15日にハノイ入りした筆者のスマートフォンに、現地の日本人コミュニティからそんなメッセージが送られてきた。その内容は「反中デモ」への注意喚起。すでにベトナムでは、10日から11日にかけて複数の都市で大規模な反中デモが発生し、首都ハノイ市でも抗議行動に出た市民を警察が拘束する一幕があった。それでもなお、民衆の怒りはくすぶり続けていた。

 その原因は、ベトナム国会が審議中の「経済特区法案」だった。ベトナム政府は北部、中部、南部の3ヵ所に特区を建設し、優遇政策を与える外資誘致を決定したが、外資企業への土地のリース期間を「最長99年間」とする同法案に、市民が猛反発を示したのだ。

 抗議の矛先が向けられたのは中国である。ベトナムの市民は「長期のリースは主権に影響を及ぼす」と危惧し、ホーチミン市では「土地は1日たりとも中国には貸さない」「中国はいらない、中国は出ていけ」といったシュプレヒコールが渦巻いた。