なぜ市場関係者が日銀短観、しかも業況判断DIに注目するのかと言えば、株式市場などはいわゆる「美人投票」の世界なので、他の投資家が注目している指標に注目する必要があるからだ。

 中でも重要なのは、「大企業製造業の業況判断DI」だ。なぜ大企業製造業に注目するのかと言えば、「皆がそれに注目しているから」ということに加えて、「上場企業は大企業製造業が多いから」だ。つまり、株価指数は大企業製造業の業況判断DIと連動する傾向があるのだ。

 業況判断DI以外では、利益見通しや設備投資計画も注目されているようだが、このご時世だから企業の資金繰り判断や、雇用人員判断などは注目されていないようだ。資金繰り判断は「楽である」に決まっているし、雇用人員判断は「不足」に決まっているからだ。

 販売価格や仕入れ価格の見通しについて、市場関係者の多くは「インフレは来ない」と思っているので、「上がる」という予想が比較的大きい場合には、注目されるかもしれない。一応、数字はチェックしてみよう。

日銀短観はアンケートだから
“癖”が出るのでご用心

 日銀短観は、アンケートだ。経済指標が過去のデータであるのと比べて、アンケートは「今後の予定」も聞けるし、無味乾燥な経済指標と比べると手触り感があり、経済実態の把握に役立つ面もある。

 しかし、アンケートだから客観性に乏しく、癖がある場合も多い。最も気をつけなければいけないのは、日本人は「儲かりますか」と聞かれても「ダメですね」と答える傾向があることだ。

 それが明確なのは、国内での「製商品・サービス需給判断」だ。過去40年間で、バブル期のピークにわずかに需要超過になったことがあるだけで、それ以外は常に供給超過との判断だったのだが、そんなはずはない。