ただ、水準を見てはいけないということであって、過去との比較は可能だ。その意味では、直近のこのDIがバブル期に迫る水準であることに注目したい。国内での製商品・サービス需給判断は、景気の現状と比較的近い動きをすると考えると、あまり実感はわかないが、現在の景気は過去40年間でも相当強いということだ。

 もう一つ、「仕入れ価格判断」が「販売価格判断」を常に上回っているということもアンケートの癖を物語っている。もしもこれが真実であれば、過去40年間に回答企業のほとんどが倒産していてもおかしくないはず。だから、これも癖と言える。

 さて、こうした癖を頭に入れた上で、最近の大企業製造業の業況判断DIについて見てみよう。

 昨年12月調査では26であり、「3ヵ月後には21に悪化しているだろう」との予測だった。それが、3月調査の実績は24であったから、小幅に悪化したが、予想したほど悪くはなかった。

 アンケートの実施時期である3月は、ドル安円高であったから、大企業製造業の業況判断DIが悪化したことは自然。12月時点では予測されていなかったドル安円高であったことを考えると、予想した21よりも更に悪い結果になっても不思議はなかったにもかかわらず、業況判断DIが21よりもよかったということだ。これは、予測が悲観的すぎたためで、前述の癖がここにも表れたということだろう。

 そうだとすると、前回の予測(3ヵ月後には20まで悪化するだろう)は当たらない可能性が高い。しかも、今回の調査期間であった6月は、3月よりドル高円安だったから、大企業製造業の業況判断DIには予想外の改善方向の力が働いたはずだ。

 であれば、今回は20よりかなりいい数字となることが予想される。前回実績の24を上回るか否かは何とも言えないが、上回る可能性もあると考えたい。大手シンクタンクはそろって小幅悪化を予想しているようだが、どうなるだろうか。

 もしDIが悪化するとすれば、トランプ米大統領による「貿易摩擦」が一因かもしれない。だとすると、それ自体がアンケートの癖ということになろう。「今後の悪影響が予想されるため、経営者の気分を暗くさせているが、現時点での業況には影響していな事象」を「予測」のみならず「現状」にも反映させてしまう回答者が多いことを意味するからだ。あくまで業況を聞いているのであって、経営者の気分を聞いているわけではないのだが…。