シニフィアンの共同代表3人による、企業の成長フェイズにおける「ステージチェンジ」をテーマにした放談、閑談、雑談、床屋談義の限りを尽くすシニフィ談の第7回(全8回)。
(ライター:福田滉平)
カニバリ上等!マーク・ザッカーバーグのリスク感覚
朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):うまいステージチェンジの例だと思うのはFacebook。FacebookはSNSがメインの事業ではあるものの、ワッツアップ、インスタグラム然り、自社サービスだけにこだわらず、カニバリを辞さずに外から事業を取り込むじゃないですか。
小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):ワッツアップを並列に置いてますからね。
朝倉:そう、無理に統合しようとしない。カニバリ上等で、社内で競わせている。メッセンジャーとインスタグラムとFacebook本体で、ストーリー機能を同時並行で導入するなんて、普通の感覚だとやらないと思うんですよね。でも、なりふり構わずにスナップチャットを潰しに行っている。本当はスナップチャットを買えれば一番良かったんでしょうけどね。あのなりふり構わない感じが素晴らしいなと。最終的にその中のどれかが勝てば良いわけで。ものすごい全社レベルの視点でものごとを見ているなと思います。個社単位で見ると、2012年当時のインスタグラムに対して10億ドルというのは「ええー!?」って思う金額感だった。けど、それが今すごく効いている。投資の見立てとしても素晴らしいんだけど、Facebookとしては取れるリスクだったわけですよね。全損してもまあまあ取り込めるリスク。マーク・ザッカーバーグが凄いのが、最初はただのギークなお兄ちゃんだったのが、ギークなお兄ちゃんに終始しないで、経営が大切だと思ってワシントン・ポストのCEOに教えを請いに行くなど、あらゆる自己改革を何度も何度も試みているんですよね。極めて視座が高いってことだし、自分は単なるギークで終わるつもりがなかったというのが大きな違いでしょう。