Facebookの長期視点の事業サイクルとポートフォリオ

小林:僕が感じたFacebookの恐ろしさというのは、彼らが事業サイクルを適切に把握して、経営コントロールを管理してるんじゃないかということ。「次はモバイル広告だ」となると、これは自分たちでやっていく。でも、その次のドローンとかAIっていうちょっと遠目の事業は、M&Aも含めて、足りないなと思ったら補強する。そうして、来年来るやつ、5年後に来るやつ、もしかしたら10年後に来るかもしれないムーンショットを全部揃えているんですよね。あれは抜群のセンスで、彼らは10年後もオワコンにならないように準備しているんじゃないかと。だからインスタグラムに行ったり、ワッツアップに行ったり、オキュラスに行ったり、「これは、持ってへんかった。取っとこう」って感じで資本を存分に使って補強している。このセンスの良さは抜群でしょ。

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):Facebookの持っている価値を損なう最大のリスクが「新しいイノベーション」だと気づいてるから、新しいイノベーションを取り込むか、あるいは潰すためには、自分の全時価総額を賭けても良いんだというくらいの割り切りと見立てを持っている。雑草があればすぐに取り除くということが、会社の競争力にとっては重要だという考え方を持ってるんやね。

朝倉:Facebookは、初期から極めて長い時間感覚でものごとを見ていますからね。創業3年目の時点で、マイクロソフトから150億ドルで買収のオファーがあったときも、役会に現れるなり、「今売るなんて、あり得ないっすよね」と即座に拒絶した。社外取の誰もが唖然としていたそうですよ。目線が全く違う。彼らが見ているのはインフラ化。アメリカのソーシャルセキュリティーナンバーの代替になればいいわけでしょ。エンターテインメントとして面白いかどうかというのは一番の問題ではない。今アメリカに出入国する時にSNSのアカウントを記載しろっていう話も出ているわけですが、これは彼らにとっては望むところなんちゃいますか?

村上:ビジョナリーですね。