雇われ社長に200億円払うアルファベット

朝倉:ただのサービス一発屋から、大経営者になったザッカーバーグが率いるFacebookはとんでもなく凄い会社ですが、両社にいた人間に、それよりもよほど凄いと言わせるアルファベットって会社に至っては、もう形容する言葉がない。

小林:アルファベットが凄いと思ったのは、サンダー・ピチャイの給料。200億円なんですよ。ファウンダーでもない人間にあそこまでの給料を払うって、自分たちのフェイズをよく分かっている。というのは、日本の経営者の多くは株式の持ち分比率、すなわち、創業株主としてのインセンティブの割合が高い。だから創業時に払った時のリスクに対するリターンっていうのは十分に得ている。一方で、創業後に1000億の会社を1兆円にするって無茶苦茶難しいことなんだけど、そこのリターンの設計って全然できてないんですよね。 それに対して、「創業者じゃないけど、これだけ難しいことをやったんだったら、お前も数千億単位のビリオネアになれ!」っていう懐を持っているのがアルファベットの凄いところでしょう。ニケシュ・アローラにしてもそうだと思うんですけど、ノンファウンダーであっても払ってあげるというのをしっかり設計しているよなと思う。

朝倉:マザーズの会社だと、どれだけ時価総額を上げたところで、結局役員報酬は数千万円だと思うと、まぁ夢はないですよね。だったら外資系証券会社で働いたほうがいい。

小林:給与だけでいったら、PEにでも行った方がよほどいいですよ。

*次回に続きます。
*本記事は、株式公開後も精力的に発展を目指す“ポストIPO・スタートアップ”を応援するシニフィアンのオウンドメディア「Signifiant Style」で2017年10月14日に掲載された内容です。

日米雇われ経営者の給料事情-すべてのサラリーマン社長のために-朝倉祐介 シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。ラクスル株式会社社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。


日米雇われ経営者の給料事情-すべてのサラリーマン社長のために-村上 誠典 シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県姫路市出身。東京大学にて小型衛星開発、衛星の自律制御・軌道工学に関わる。同大学院に進学後、宇宙科学研究所(現JAXA)にて「はやぶさ」「イカロス」等の基礎研究を担当。ゴールドマン・サックスに入社後、同東京・ロンドンの投資銀行部門にて14年間に渡り日欧米・新興国等の多様なステージ・文化の企業に関わる。IT・通信・インターネット・メディアや民生・総合電機を中心に幅広い業界の投資案件、M&A、資金調達業務に従事。


日米雇われ経営者の給料事情-すべてのサラリーマン社長のために-小林 賢治 シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県加古川市出身。東京大学大学院人文社会系研究科美学藝術学にて「西洋音楽における演奏」を研究。在学中にオーケストラを創設し、自らもフルート奏者として活動。卒業後、株式会社コーポレイトディレクションに入社し経営コンサルティングに従事。その後、株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、取締役・執行役員としてソーシャルゲーム事業、海外展開、人事、経営企画・IRなど、事業部門からコーポレートまで幅広い領域を統括する。