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一見地味なアマゾンのスマートハウスから
何を読み取るべきか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第446回】 2018年7月2日
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「エコー」が家電のハブになる

棚の中のドリンクのストックの隣には、「アマゾン・ダッシュ」のボタンも設置

 アマゾンでは、スマートハウスをユーザーの1日に合わせて説明する。朝起きてベッドサイドにあるエコーに「アレクサ、おはよう」と声をかけると、カーテンが開き、照明が点灯し、好きな音楽やニュースが流れる。

 出かける際には、車から玄関のドアをロック可能。帰ってくると、同じようにアンロックできる。昼間は子供達が帰宅したことがノーティフィケーションで知らされ、仕事場で確認できる。留守の間には時間を設定しておいて、庭のスプリンクラーを稼働させて水やりしたりもできる。

 帰宅後は、食事の準備中に音楽をかけたり、食後に「アレクサ、映画の時間よ」と言うだけで、スクリーンがアマゾンのストリーミングサービスに設定され、カーテンが閉まり、照明が低くなったりする。夜間は、電気代の安い時間を狙って、電気自動車にチャージングを開始するよう設定することもできる。

 これらは、バラバラに開発されているIoT製品がアマゾン・エコーをハブにして日常生活でシームレスに利用できるというアマゾンのシナリオに沿ったものだ。そうしたIoT製品は、「Works with Alexa」という認定を受けている。建売住宅メーカーと提携した上、エクスペリエンスセンターという場所を設けたことで、アマゾンはより具体的にエコーがスマートハウスで果たす役割をアピールしようとしているのだ。

住宅メーカーが続々と
アップルからアマゾンに乗り換える動き

 アマゾン・エクスペリエンスセンターで特筆すべきことがあるとすれば、2点だ。

 一つは、アマゾンが住宅業界にアグレッシブに浸透しようとしていること。実は建売住宅メーカーのレナーは、2016年に音声AIアシスタント「Siri」を持つアップルとの提携を発表していた。iOS機器からコントロール可能にするHomeKit対応のIoT製品をモデルハウスに統合可能にして、新しい住人が苦労せずにスマートハウスを享受できるようにするという計画だった。

 ところが、レナーはアップルからアマゾンに乗り換えたのである。その理由は、アマゾンが社員を送り込んで、新しい住人に合わせて機器のセットアップを行うという手厚いサービスを提供することだ。モデルハウスには、最初からエコー製品がついてくるが、それを利用して買った住宅をスマートハウス化するための面倒な作業をアマゾンがやってくれるというわけだ。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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