JR北海道は
完全な民営会社ではない

 国鉄からJRになって民営化したのだから、トラブル続出で経営危機に陥るのは自業自得で仕方ないと受け止めている人は少なくないかもしれない。しかし、JR北海道は国が全ての株式を保有する特殊会社であって、そもそも完全な民営会社ではない。この問題を理解するためには一度、国鉄民営化までさかのぼらなければならない。

 約37兆円の借金を抱えて経営破綻した国鉄を再生するため、全国の路線を6つの旅客会社と貨物会社に分割して、民営企業JRとして再出発させたのが国鉄民営化だ。なおJR貨物は旅客会社とは事情が大きく異なるので、本稿では旅客会社6社のみを扱うこととする。

 民営化に当たって国鉄債務37兆円のうち14.5兆円がJR負担となり、大都市の通勤路線と新幹線を抱えて収益の見込めるJR東日本、JR西日本、JR東海で分担することになった。収益の見込めないJR北海道、JR四国、JR九州のいわゆる「三島会社」は返済を免除された。

 JRに継承された国鉄の資産は株式化され、JR各社は政府(民営化当初は日本国有鉄道清算事業団)が全ての株式を保有する特殊会社として発足している。全社が株式を上場して完全な民間会社になることが国鉄改革の最終的な目標とされ、1993年にJR東日本の一部株式を売却し上場を達成したのを皮切りに、2002年にJR東日本、2004年にJR西日本、2006年にJR東海が完全民営化された。2016年10月には、当初は収益が望めないとされた三島会社からJR九州も完全民営化を果たしている。

 残る旅客会社はJR北海道とJR四国だが、両社については完全民営化どころか会社存続の危機が迫っているのが実情である。2017年度の単体決算でJR北海道が525億円、JR四国が99億円の営業赤字を計上している。関連事業では到底カバーできない不採算路線を多数抱えているからだ。