米ツイッターが2013年の上場以来、四半期ベースで初めて黒字に転換した。ただ、収益源だった米国での伸びは頭打ちになりつつある中で、成長領域として熱視線を送るのが日本市場だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
米テクノロジー業界の“問題児”は、優等生へと脱皮できるのか──。
4月25日、米ツイッターの決算説明会。ジャック・ドーシーCEO(最高経営責任者)は、「われわれの売上高の伸びは加速しており、予想以上の利益を上げている」と声を弾ませた。
最大で140文字(全角)の短文を投稿して共有できるSNSを運営するツイッターは、投資家にとって頭の痛い存在だった。
というのも、SNSの競合である米フェイスブックは全世界のユーザー数を21億人まで伸ばし、売上高399億ドル、純利益159億ドル(いずれも2017年度)を稼いでいる。
ところが、「ネクスト・フェイスブック」との期待を集めて13年に上場したツイッターは一度も黒字化することなく、累計で23億ドルを超す赤字を計上。全世界で3億人を超えるユーザーを抱えながらも伸び悩み、利益を生めないツイッターは、幸福の“青い鳥”からは程遠い、投資家の期待を裏切り続ける企業だった。
赤字続きで、一時は身売り説まで浮上したツイッターに、今年になって一筋の光明が見え始めたことは、「奇跡の復活」と投資家の間で驚きをもって迎えられている。
17年度第4四半期の決算で、上場以来初となる、9100万ドルの最終黒字を計上。そのいい流れを保ったまま、18年年度第1四半期も6100万ドルの最終黒字を計上し、もうかる企業へと変わり始めたのだ(図(2))。
ツイッターの黒字転換の背景にあるのは、創業者であるドーシー氏が、15年にCEOへと復帰したことだ。
「ツイッターが最も得意とする領域は、今、世界で何が起きているのかを人々に知らせること。ドーシーが会社に戻り、得意分野に集中することを強化した」(マット・デレラ・ツイッターバイスプレジデント)
実際に、ツイッターは17年に本業以外の事業を大幅にカットしている。
動画共有アプリ「ヴァイン」のサービスを終了したほか、モバイルアプリ開発プラットホームの「ファブリック」を米グーグルに売却した。