一定期間ベンチャー企業で働く
「レンタル移籍」導入企業が続々

大企業からベンチャーへの「レンタル移籍」が人気
「企業間レンタル移籍」は、原田社長が自身の転職経験のなかで、「もし前職時代に外から会社を見る機会があれば、もっと面白いことができたかもしれない」と感じたことからアイデアが生まれたという

 今、イノベーションを生み出したい企業の人材育成策として、企業の枠を超えて学ぶ「越境学習」が注目されている。

 従来の日本企業の人材育成といえば、OJTや集合研修など社内で行うものが中心だった。しかし今、時代の変化に対応した新しいアイデアを活かして新規事業の立ち上げや事業革新の推進を行っていくためには、社内のノウハウを学ぶだけでは難しくなってきている。そこで、社外の発想や知見を取り入れようと、越境学習を促進する動きが活発化しているのだ。

 越境先には社会人大学やビジネススクール、社外の勉強会やワークショップなどがあるが、MBAだけ取得してすぐ転職してしまうなど、学んだことが所属企業にうまく還元されないケースも少なくない。

 そんななか、新たな越境学習のかたちとして登場したのが、元の企業に所属しながら期間を定めて別企業で働く「企業間レンタル移籍」。一定期間を終えたら所属企業に戻り、学んだことを組織に還元する流れを持つ仕組みだ。

 大手企業からベンチャー企業へのレンタル移籍を支援するプラットフォーム「LoanDEAL」は、2015年にサービス開始して以来、利用企業がじわじわと増加。これまでにNTT西日本、日本郵便、大鵬薬品、トレンドマイクロなどの大手企業が利用している。

 仕組みは出向制度と似ているが、主にグループ企業内や取引関係のある企業間で行われる出向と違い、業界や企業規模がまったく異なる企業との間で実施されるのが大きな特徴だ。例えば、現在、NTT西日本からは世界初の人工流れ星事業に取り組むベンチャー企業へ、また大鵬薬品からは音楽SNS運営会社へ、といったレンタル移籍が実施されている。

 大手企業が導入に積極的な理由について、「LoanDEAL」を運営する株式会社ローンディール代表取締役社長、原田未来氏はこう語る。

「既存の事業を安定的に運用することが柱となる多くの大企業では、同質性の高い組織のなかで分業によって効率的で堅実に業務が進められます。一方、事業の立ち上げに取り組むベンチャー企業では、多様性や外向性を大切にし、一人ひとりが経営者視点で、会社全体を見ながら仕事を進めなくてはなりません。そうした大企業では得にくい実践経験が期待されているのではないでしょうか」