整理すると、空き家率は募集に出されないデッドストックを多く含んでいるので、上昇していくのは当たり前で、実態の賃貸の稼働率は横ばいのまま悪くなっていないということだ。このため、空き家率は上昇すれども賃料は下がらない。新築供給は「解体戸数+デッドストック」と均衡しているので、多過ぎるということにはならない。

 こうした状況を考えると、賃貸経営が悪化する状況にはなりにくと言える。また、今後もこの需給バランスは崩れそうにない。なぜなら、賃貸のストックで最も多いのは1980年代に建てられたものであり、この解体とデッドストック化が今後築30年を超えて急速に進むからである。

大震災後の仙台市に見た
賃料が上がる条件とは

 都道府県別の空き家率は次のようになる。最小となる宮城県の9.1%と最高となる山梨県の17.2%の差は約2倍になる。ちなみに、宮城県は政令指定都市である仙台市を抱え、賃貸住宅市場は東北一大きい。東日本大震災の津波被害で最も賃貸住宅が減少した地域であり、物件検索サイトの募集件数が3分の1に減り、賃料は平均で2割上昇し、いまだにこの水準を維持している。

 賃料が平均値で5%以上変動することは非常に稀なので、相当低い空室率になったままであることは間違いない。その結果に鑑みて、デッドストックの割合を6%程度あると仮定しよう。宮城県の空き家率9.1%と山梨県の17.2%が6%ずれているとすると、実際の空き家率は宮城県が3.1%、山梨県が11.2%になる。こうなると、この2県の差は3.6倍になる。感覚的にはこのへんが実態なのだろうと思われる。

◆図表2:都道府県別空き家率

都道府県別空き家率の表
(出典)住宅土地統計調査 拡大画像表示

 日本全国の借家の築年分布は、次のグラフのようになる。約1700万戸あるストックのうち築34年以上が23%を占めるが、募集されている件数は非常に少ない。つまり、この多くがデッドストックになっている可能性が高い。