記者の実家は、冷蔵庫と壁の隙間に紙袋を挟んでいるが、気になって尋ねてみると、どうやらカビの繁殖に影響するらしい。

 尾崎次長によると、庫内を冷やすためにポンプが動いているが、外部は熱くなっており、周りにものがあって換気条件がよくないと、ポンプを動かす電気を使いすぎてしまうそうだ。「周りは10センチ以上空けて、風が通る状態をつくってほしい。湿気がこもらず、冷蔵庫の動きが安定します」(同)。ものがあると埃も生じやすくなり、冷蔵庫の周りにカビのエサを呼び込むことにもなる。

開放時間は短く 透明カーテンを

カビがびっしり生えた冷蔵庫のドアパッキン(大阪市立自然史博物館・浜田信夫さん提供)

 これらの掃除で注意したいのが、カビ除去剤の使用だ。「果物や酢など酸性の食材とカビ除去剤が反応すると、猛毒の塩素ガスが発生します」と尾崎次長。

 さて、きれいに磨かれた冷蔵庫が目の前に現れた。これをほんの数週間で失うわけにはいかない。注意すべきことは次の3点。

 まずは冷蔵庫を開ける時間を短くすること。開け放つ時間が長いと冷気は逃げ、外気が入り込む。冷蔵庫を開けたまま「どの食材を使おうかな」「どんな献立にしようかな」と考え込むのはやめよう。対策として尾崎次長は100円ショップで購入できるビニールを使った「透明なカーテン」を勧める。

 次に、野菜は新聞紙にくるんで保冷しよう。野菜に付着した土には雑菌が含まれ、カビ発生の要因にもなる。水で洗い流しても、そのまま庫内に入れると水分にカビが寄ってくるし、ポリ袋に入れて密閉しても結露が発生する。前出の浜田さんは「ぬれた場合は新聞紙にくるんで冷蔵庫に入れ、定期的にその新聞紙を交換する」ことを勧める。「表面を乾かせばカビは少なくなるが、味落ちの原因になる。野菜室は10日~2週間ぐらい置かないと、カビは生えない。つまり、その期間に掃除することで、対策となります」と続ける。

 三つ目は、一つの食品を長期間入れっぱなしにしないこと。カビは条件がそろうと繁殖する。一度開封した食品を、安全な期間内に食べきることが大切だ。

 尾崎次長によると、冷蔵庫内部の整理の目安は1ヵ月。調味料の飛び散り、野菜くずなどをこまめに取り除くことで、大掃除の手間も省ける。

 浜田さんは、「冷蔵庫を保存庫として使っていると危ない」と指摘する。「たとえば長期間保存できるレモン果汁調味料。半年ほど放置する人も多いでしょうが、カビが発生しやすいんです。(容器の)中で発生したカビが『ふた』となって(レモン果汁が)出てこない、なんて話が結構あります」(浜田さん)

 梅雨時、そして猛暑が来る前に、わが家の冷蔵庫を見直そう。

(週刊朝日・緒方麦)

週刊朝日2018年7月6日号よりAERA dot.より転載