トヨタで初の10億円超も

 ちなみにゴーン氏自身の報酬額は、前年度比33%減の7億3000万円。ただしこれに加え、ゴーン氏は会長を務める三菱自動車から2億2700万円、会長兼CEOを務める仏ルノーから740万ユーロ(約9億5000万円)の役員報酬を受け取っている。つまり3社で総額約19億円という、まさにグローバル水準の報酬をしっかり受け取っているのである。

 他の自動車メーカー首脳の報酬額はどうか。例えばスズキ会長の鈴木修氏は2億2000万円、ホンダ社長の八郷隆弘氏は1億5500万円、三菱自CEOの益子修氏は1億4100万円だ。一般のサラリーマンからすれば垂ぜんの額だが、ゴーン氏の言うグローバル水準に照らせば庶民的にすら見えてしまう。

 一方、トヨタ自動車の豊田章男社長は3億8000万円。だが17年度は副社長のディディエ・ルロワ氏に10億2600万円を支払い、同社の役員報酬として初めて10億円を超えたことが話題になった。ルロワ氏といえば、トヨタがルノーからヘッドハンティングし、今やトヨタ車販売の最高責任者を務める人物だ。

 ゴーン氏が総会で強調したのは、グローバル競争が激化する自動車業界において「世界に通用する」経営者を採用し、つなぎ留めることの必要性だ。そのために競争力のある役員報酬が不可欠というゴーン氏の主張と実践は、清貧を美徳とする考えが根強い日本社会に、新たな変革を迫っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)