実は、「オスロ・プロセス」も、第二次レバノン戦争における多大な被害、それに対する欧州各国からの批判を契機に始まったものだった。

 日本などでは馴染みの薄いクラスター爆弾だが、子どもたちの人権に敏感なEU諸国では、頻繁に政治テーマに上がっている。欧州のメディアが、ダブリン会議の様子を連日トップ扱いで報じていたのも、そうした国内環境があったためだろう。

洞爺湖サミットを意識した
日本の採択同意

 ところがここでひとつ問題がある。米国、ロシア、中国、イスラエルなど、使用頻度の高い国々に限って、この条約に参加していないのだ。そのため、実効性に疑問を呈する声も上がっている。

 「1997年のオタワ条約(対人地雷廃棄条約)採択の時も同じ議論がありました」

 こう語るのは、JBCL(地雷廃絶日本キャンペーン)運営委員の目加田説子氏だ。昨年5月のリマ会議など、目加田氏は「オセロ・プロセス」に関する国際会議に続けて出席している。昨夜(6月10日)、アイルランドから帰国したばかりの彼女に、筆者司会のテレビ番組「ニュースの深層」の中で聞いた。

 「オタワ条約の合意がなされた時も、米国、ロシア、中国などが参加していないということで、その実効性に疑問符がついたのですが、結局、日本を含む他の国々が条約に参加したことで、それらの保有国に対する牽制となり、以降、対人地雷はほとんど使われなくなりました。その例を考えれば、今回の合意も、有効性を発揮する可能性は十分あると期待しています」

 どうやら今回、そうした見えない「平和の圧力」が日本政府を動かしたようだ。

 ダブリン会議の閉幕直前、日本はそれまでの態度を一変させて採択に参加した。これまで、同盟国である米国の顔色を窺いながら様子眺めをし、またNGO(非政府組織)や欧州からの説得にもかかわらず、態度を保留してきた日本が、一転、採択に踏み切ったのはなぜか。

 日本国内の報道では、福田康夫首相の決断によるもの、とある。だが豹変の理由はそれだけではないようだ。

 「洞爺湖サミットだよ」

 首相官邸スタッフのひとりに尋ねると、あっさりと一言こう返ってきた。