避難所では飼い主と一緒の建物やテントで寝起きすることは許されない。だから「飼い主が近くにいない間吠え続けていては迷惑になる。平常時から留守番など飼い主と離れることに慣らしておきましょう」。

 我が家の愛犬は室内犬で、ほぼ一日中、私の足元にいる。昨年筆者が、ほんの2日間家を空けた際には、水さえも喉を通らなくなり、嘔吐しまくった末に脱水症状を起こし、動物の救急外来で点滴を受けた。レントゲンを撮った獣医さんが言った。

「ストレスでしょう。何か不安になることがありましたか」。筆者が泊りがけで出張するのは決して珍しいことではないが、いつにも増して不安に感じたらしい。他の家族は家にいたのに、だ。そんな愛犬をもし、私たちとは違う場所につながれたらどうなるだろう。2日と持たないような気がする。

 1日程度なら、独りでいい子に留守番はできる。だがそれは、皆の様子が安定している場合に限られる。ちょっとでもいつもと違う雰囲気がある時は敏感に察知して、ピーピー鳴き続ける。トレーニングなんてできそうにない。

 まして、猫は不可能だ。抱っこしていようが、ケージに入れていようが、家から外に出した途端、平たくなって固まり、動かなくなる。別の場所で寝泊まりするなんて、ムリだ。

ペットの災害対策は
日常の延長線上にある

 がっくりきた筆者に、前を向かせてくれたのは、今年3月に開催された「人とペットの災害対策シンポジウム」のレポートだった。

 環境省が主催したシンポジウムの概要を報告したものだが、ネットでも読むことができ、災害時にペットを守るにはどうしたらいいのかを考える上で、とても参考になる。

 環境省自然環境局動物愛護管理室の則久雅司(のりひさ・まさし)さんの基調講演では、熊本地震の際の被災者の行動を振り返り、「同行避難後にどのような選択肢があるか」の例示がためになった。

「一つは避難所での飼養です。二つ目が自宅での飼養で、これは熊本地震でも多く見られました。飼い主は避難所に、ペットは自宅にいて、面倒を見に帰るのです。番犬の場合は、盗難対策も兼ねていたようです。三つ目が車の中での飼養です。熊本地震では車中泊をされる方も多くいました。(中略)四つ目の選択肢が、施設などに預けることです。親戚や友人宅、自治体施設、動物病院、民間団体など、恐らく預け先は色々とあるでしょう。避難直後は無理ですが、時間が経てばこのような支援も始まるということが情報として伝われば、避難所でペットを抱えて困っている方にとっても、先の見通しが立つのではないかと思います」