いったんは避難所に同行しても、様子を見て、自宅に置いておけるようならそれもよし、というのはいい。自宅に倒壊、浸水の恐れがある場合は難しいが、それこそ平時から、ペットが自宅で避難していられるような工夫を凝らしておくのは、同行で避難所生活をするよりは現実味があるような気がする。

 危機管理教育研究所 代表で、危機管理アドバイザーの国崎信江(くにざき・のぶえ)さんの、「避難所に行くことを前提とせず、自宅で継続して過ごせるようにしておけば、ペット問題も軽減できるのではないでしょうか」という提案も、具体的かつ現実的だった。

 熊本地震の際、益城町では、地盤が弱いために、比較的新しい家でも全壊した例があったそうで、「地盤、建物の強さも含めて継続して自宅に住める環境を築いておくことも重要ですし、さらに室内でペットが怪我をしないようにする対策も必要」と語る。

◆ペットが怪我をしないようにする対策例
・家具は大小、背丈、重量関係なく、すべて固定しなければ動き、人やペットを襲う凶器となる。
・ただし、固定すればするほど家具の中身が飛び出しやすいので、中身の飛び出し防止対策は必須。
・一戸建てとマンションでは、それぞれ防災対策が異なる。マンションの場合は、上階ほどしっかりとした防災対策が必要。
・人間の足も、ペットの肉球も保護するためにお勧めしたいのは、生活雑貨類に、できるだけ柔らかい素材のものを選ぶこと。たとえば掛け時計も、割れてガラス片が出ないよう、数字と針を直接壁にはるタイプに変え、傘立てや写真立て、ごみ箱などのすべての生活雑貨類を紙、皮、布、ゴム、シリコンなどの柔らかい素材に変える。

 …生活者の視点が光る、目からウロコの提案だ。

 さらに国崎さんは言う。

「(家族であるペットと離れて暮らすわけにはいかないという飼い主と、ペットと人を避難所で同居させるべきではないという人たちとの間で、様々な問題が起きていることについて)私は、このペットの問題は、様々な被災地で起きている小さな子どもに関する問題と、ほぼ同じだと感じています。愚図ったり、泣いたり、あるいはオムツの臭いがするなど、小さなお子さんがいらっしゃる家庭が気兼ねすることは多いです。同じようにペットも、匂いや鳴き声などで、周りの方を気にしてしまいます。小さな子どもは、慣れない避難所で暮らすことへのストレスを感じますが、ペットもまた慣れないケージで、ストレスを感じます」

 一般的には、災害時の避難という非常事態では、不便でつらいのは当たり前。贅沢を言ったらバチがあたる…的な感覚があるが、それは果たして正論なのだろうか。