転機は2017年、41歳で

技術や経験だけではない。
選手時代はフランス、インターンとしてイギリス、フランス、オランダ、指導者としてはスペインのチームに所属していた。

そこで身につけたのはフランス語とスペイン語、それに英語もだ。
もちろん日本語も使用言語である。

南米でサッカー選手としてのキャリアをスタートさせ、選手のみならず指導者としてヨーロッパサッカーを熟知し、スペイン語も話せる僕に転機が訪れたのは、2017年1月末。

当時イタリアの強豪クラブ・ACミランに所属していた本田圭佑選手と出会い、2017年3月より本田選手の専属分析官としてイタリア、さらには2017年7月からのシーズンは、本田選手とともにメキシコへ。意外といえば意外だが、必然といえば必然のように思える展開だった。

いつからでも挑戦できる。
何歳からでも始められる

18歳でサッカーを始め、大学のサッカー部にも、日本のJリーグにも入れなかった僕が、南米で選手となり、夢に破れフランスへ渡り、そこでもまた夢破れた。

一度は日本に戻って企業のサラリーマンも経験した。
だが、どうしてもあきらめきれない「サッカー」に、32歳で再び挑戦した。
今度は指導者として。そしてヨーロッパでコーチや監督となり、現在の僕がある。

42歳にもなって何を青臭いことを…と呆れたかもしれないが、
みなさんにお伝えしたいことがある。
それは「心の力」である。
夢を、やりたいことを、思い描き、夢中になって追い求めることの大切さ。
情熱を燃やし、挑戦することの素晴らしさ。

「自分なんてもう○歳だから……」
「どうせ無理だし……」
この言葉を、人生で一度でも口にしたことのある人には、
「こんなしぶといヤツがいたのか……」
「常識はずれだけど、夢をかなえる方法というのは、いろいろあるもんだな」
こんなふうに感じていただけたら、嬉しい。

毎日の生活に紛れて心の片隅に隠れている「本当はやってみたいこと」に気づきながら、
「やってみよう」という一歩が踏み出せない――。
新しいことを始めたくても「今からではたいしたことはできない」と、
最初からあきらめている――。
そんな心のわだかまりを持っている人に、こう伝えたい。

いつからでも情熱は持てるのだと。
いくつになっても挑戦はできるのだと。
すべては、始めることから始まるのだ。

※次回は18歳という遅いスタートからいかにして白石尚久氏がプロサッカー選手のキャリアを掴んだのか、意外なキャリア戦略についてご紹介する。
(次は7月12日公開予定です)