高い精度で再発予見も
最新の免疫療法も有望

 また、注目すべきは、その「再発予見」の効果である。

 がんの切除手術後に、リキッドバイオプシーで切除されたがんで見つかったものと同じ「がん遺伝子」が検出された患者は、2年以内に100%の確率で再発しており、その逆に検出されなかった患者の再発率は10%程度にとどまっているというのだ。現在、がん治療で最も有効なのが早期発見であることは言うまでもない。早く見つかればそれだけ生存率は上がる。リキッドバイオプシーで「超早期発見」が当たり前になれば、より多くの命を救うことができるというわけだ。

 一方、ネオアンチゲン療法とは、人間の身体のなかに生来ある、「がんを攻撃する特別なリンパ球」を人為的に増殖させて、がん細胞を破裂させていくという最新の免疫療法である。

「なんだかインチキ臭いな」などと思うなかれ。日本のがん医療現場ではほとんど聞くことはないが、昨年7月には世界的な学術誌「ネイチャー」にその効果の高さを報告する論文も発表されており、やはり米国では、有名研究機関が競い合うように臨床試験を行っている。

 これらが日本でも実用化という運びになれば、冒頭で紹介したようなことも決して夢物語ではなくなるのだ。

 なんて話を聞くと、「そんなにすごい新技術ならば、日本国内でも盛んに臨床研究などが行われているはず。そういうニュースをあまり耳にしないということは、まだ安全性や信頼性に問題があるのでは」といぶかしむ方もいるかもしれない。

 しかし、その原因は、これら最新医療技術の方にあるのではなく、日本の医療界が持つ、イノベーションを阻む「独特の壁」にある、と断言する人がいる。