森保監督にも宿る「納得させる力」
次期監督の人選を議論する委員会は20日に

 西野監督も自身の就任会見で、森保コーチ、そしてハリルジャパン時代に続いて手倉森誠コーチ(リオデジャネイロ五輪監督)を入閣させた意図をこう語っていた。

「将来的なところでも、手倉森、森保はこれからの世代を当然、引っ張っていってもらわなければいけない指導者であり、たくさんの経験を積ませたいと考えています」

 森保氏はサンフレッチェ広島の監督として、2012、2013、2015シーズンとJ1を3度制した実績もある。人前では絶対に他人を批判しない、という誠実な人柄も周囲から揺るぎない信頼を寄せられる。同時に一度決めたら梃子でも動かない、文字通りの頑固さも持ち合わせている。

 3度目のJ1制覇を勝ち取った2015シーズン。明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ決勝を戦ったガンバ大阪の長谷川健太監督(現FC東京監督)は、当時の絶対的なエース、FW佐藤寿人(現名古屋グランパス)を決まったように後半15分前後でベンチへ下げ、スピードのあるFW浅野拓磨(現ハノーファー)を投入する森保監督の采配に脱帽の表情を浮かべたことがあった。

「寿人をあの時間帯に判で押したように代え続けるのは、なかなか私にはできない。寿人との信頼関係もあると思いますが、1年を通して愚直にやり続けるあたりは、戦い方を変えないメンタルの強さと、それを貫くことでチーム力を上げていく作業ができる意味でも、普通の監督ではないと思います」

 実は佐藤とは2014年の夏に衝突している。ある試合のハーフタイムに交代を命じられた佐藤が「何で自分なんですか!」と感情を露にしたことで、直後の2試合でベンチから外した。お互いにチームの勝利を考えての行動ということで手打ちとなったが、身を粉にしてチームのために戦う自己犠牲の精神を、妥協することなく求める森保氏の哲学を象徴するエピソードと言っていい。

 これまでに見せてきた一連の立ち居振る舞いからも、森保氏が「納得させる力」を宿していることをうかがわせる。ただ、五輪代表監督との兼任には大きな障害がたちはだかる。昨秋に五輪代表監督に就任した森保氏は、1997年1月1日以降に生まれた東京五輪世代を幅広い視点でチェックしながら、可能性のある選手たちをじっくりと見極めてきた。