すべては定量化できる
単品加工の仕事には、知的興奮がありました。
けれど、単品加工の仕事でさえ、リピート注文が入ってくると、同じ作業を繰り返す。そうなると知的作業ではなくなり、「前はどうやってつくったのだろう」と思い出しながらの作業になる。
一度受注した加工にもかかわらず、人のあいまいな記憶に頼ると作業時間だけは長くかかります。
そこで私は決断しました。
「すべては定量化できる。職人の技術やノウハウをデータベース化し、ルーティン作業は機械にさせる。そうすれば、人がルーティン作業から解放され、知的作業に集中できる。加工の仕方をデータベース化しておけば、リピート受注があったときにすぐ対応できるはずだ……」
そんな思いから、私はコンピュータと機械のオンライン化に着手しました。
職人それぞれに手法が異なる暗黙知(職人のカンや感覚)を分析し、データベースに落とし込む作業を淡々と繰り返したのです。
そして、ついに「多品種単品・24時間無人加工システム」が完成しました。
当社では、このシステムを「ヒルトップ・システム」と呼んでいます。
今回、年間2000人の見学者が訪れる、鉄工所なのに鉄工所らしくない「HILLTOP」の本社屋や工場、社内の雰囲気を初めて公開しました。ピンクの本社屋、オレンジのエレベータ、カフェテリア風の社員食堂など、ほんの少し覗いてみたい方は、ぜひ第1回連載記事をご覧いただければと思います。