IBMの人工知能(AI)技術「ワトソン」は2016年にがん患者の命を救って話題を集めるや、医療・ヘルスケア業界で仕事が急増した。そのワトソンは次に何を仕掛けるのか――。『週刊ダイヤモンド』7月21日号の第1特集「製薬 電機 IT/ 医療産業エリート大争奪戦」の拡大版として、産業のキーマンたちのインタビューを特別連載でお届けする。第2回はITサービスの巨人、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の金子達哉ヘルスケア・ライフサイエンス事業部パートナーに聞く。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

――近年の技術進化によって、ライフサイエンスやヘルスケアの分野でのビジネスは広がっていますか。

 急速に広がりました。2016年に東京大学医科学研究所で「ワトソン」(IBMのAI技術)ががん患者の病因を突き止めたと報道されたのが転機になりました。

金子達哉・日本IBMヘルスケア・ライフサイエンス事業部パートナー Photo by Masato Kato

――東大医科研でワトソンが診断の難しい特殊な白血病をわずか10分ほどで見抜き、患者の命を救ったケースですね。国内で初めて、AIが治療に影響を与えたと言われています。

 インパクトは相当なもので、あれから病院だけではなく政府などいろいろなところからAIを使って問題を解決できないかという相談が寄せられ、ビジネスがぐっと広がりました。

――それまでのビジネスというと?

 国内では500床以上の大病院向けの電子カルテシステム導入を20年以上にわたってやってきました。あとは製薬やライフサイエンス系の企業にERP(基幹系情報システム)導入などのコンサルティング。AI、リアルワールドデータ(診療報酬請求や診療記録、健診など患者の健康状態や医療提供に関連するデータ)などの括りでビジネスをやれるようになったのはこの2、3年。風が吹いてからです。

 16年にはヘルスケアの事業部とライフサイエンス・製薬企業向け事業部がシナジーを出せるよう、「ヘルスケア・ライフサイエンス事業部」に統合。製薬企業、医療機関だけではなくて保険、食品、政府、自治体などのさまざまなプロジェクトを手掛けています。

――例えば?