じつは、日本政府も日本がキャッシュレス後進国であることに強い危機感を持っている。政府は、キャッシュレス化が国民生活の利便性向上や外国人観光客を増やすために必要であり、来るべき新社会に不可欠なものとして位置づけている。

日本は国を挙げてキャッシュレス化にまい進

 政府がキャッシュレス化を推し進める狙いは3つある。

1.インバウンド消費拡大による経済活発化
2.現金ハンドリングコスト減
3.お金の流れの捕捉

 第一はもちろん、インバウンド消費拡大による経済活発化だ。日本政府が打ち出している「日本再興戦略」の中では、観光立国の実現のためには「キャッシュレス環境の飛躍的改善」を図り、「2020年までに、外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットにおいて100%のクレジットカード決済対応及び100%の決済端末のIC対応を実現するため、クレジットカード決済・IC対応端末の普及を促進する」と、外国人観光客への対応を強く促している。東京オリンピックには外国人観光客が大挙して押し寄せてくる。彼らはキャッシュレス決済が普通なので、店舗のインフラ整備は急務である。

 第二は、現金のハンドリングコストの削減だ。紙幣にしても硬貨にしても、貨幣をつくって保管し流通させるには膨大なコストがかかる。国だけではなく企業にとってもそのためのコストはバカにならない。

 日本の貨幣(銀行券)の1年あたりの製造コストは日銀によると約517億円だという。われわれ国民は、稼いだお金をほとんど銀行のATMから引き出して使っている。その銀行のATMは、信用金庫やセブン銀行、イオン銀行などを含めると全国で約20万台ある。

 ボストン・コンサルティング・グループの推計によると、このATMの維持管理費に現金の運搬にかかる人件費などを加えると、年間2兆円にものぼるといわれる。キャッシュレス化によって、この官民にかかる負担を軽減したいというわけだ。