食事についても「調理した温かいメニューは夕食だけ。後は冷たいパンにバターやサラダなどです。サンドイッチの時もあります」と説明する施設が少なくない。給食会社からの配達を受ける施設もある。

 食卓についている入居者に、外国人介護者が後ろから食パンを無造作に、投げるように配っている姿に驚かされたこともある。

 こうした仕事内容ということがあるためか、入居者に対する職員配置は手厚くない。コアダーンでは1日3交代で勤務するが、どのユニットもいつも一人体制である。日本のグループホームの日中の職員配置は、入居者9人なら3人が必置だ。リートフェルトでは、8人のユニット入居者に2人の職員が配置されている。

 専任スタッフの効率的な配置を支えているのは、多くのボランティアのようだ。ロッテルダム周辺で55施設を運営する大手のローレンスでは、6000人の全スタッフに対して、2000人ものボランティアが活動しているという。

「ボランティアはオランダの社会福祉の宝」と胸を張る施設長の言葉が忘れられない。         

「自宅暮らしの再現」を謳いつつも
入居者が簡単に外に出られない現状も

ホグウェイのスーパーマーケット
ホグウェイ内にあるスーパーマーケット。施設内でのまちづくりには積極的だが、入居者は簡単に外に出られないという課題もある

 どの施設でも、「自宅暮らしの再現」を謳う。ただ気になったのは、それが施設内で完結しているのは確かだが、周辺地域との関わりがあるのかが気になる。ホグウェイもリートフェルトも施設内での「まちづくり」にはとても熱心だ。

 だが、入居者は簡単に外へ出られない。玄関はきちんと施錠されたり、二重ドアで締め切られたりしている。リートフェルトの裏庭には、鶏やインコなども飼われているが、そのすぐ先に金属のフェンスが境界として張り巡らされ、天辺が内側に反り返る。ものものしい雰囲気だ。

 他の施設でも、入居者が階段やエレベーターで自由に移動できない仕掛けが目を引く。各階ごとに施錠され暗証番号を持つスタッフしか通行できない。

 歴史的に蓄積されたボランティアの活動が勢いを増せば、こうした限界は徐々に打開されていくかもしれない。地域住民がボランティアとして来訪することで地域交流が深まる。認知症の人にとっても社会参加は欠かせないはずだ。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)