農水省新次官に経産省に出向中の末松広行氏Photo:PIXTA

 政府は24日、農水省の奥原正明次官(62歳)の後任に、局長級の人事交流で経産省に出向中の末松広行産業技術環境局長(59歳)を充てる人事を決めた。来年には農協改革の重大局面を迎えるが、末松氏が手腕を発揮できるかが焦点だ。

 農水省の次官は、次期次官の指定席である水産庁や林野庁の長官から昇格するのが通例だ。末松氏は奥原氏に続いて指定席を経ずに次官に就任することになる。その上、経産省局長からの抜擢となる今回の人事は、異例中の異例と言える。

末松氏は経産省で人口知能の研究を統括した。農業のIT化の推進も期待される役割の一つだ

 イレギュラーな人事が続くのは、補助金や関税で農家を保護してきた戦後農政が行き詰まっており、抜本的な制度の見直しを行える人材が求められているからだ。

 奥原氏は、菅義偉官房長官との太いパイプを生かして、コメの減反廃止や、JAグループを束ねるJA全中の解体といった自民党農林族が強く抵抗する改革を実現してきた。

 一方、後任の末松氏は、小泉内閣で官邸に出向し、内閣参事官を務めるなど重要ポストを歴任してきた農水省のホープだ。

 自由な働き方も末松氏の特徴だ。役所勤めを続けながら大学の客員教授として教鞭を執ったり、グロービス経営大学院のシンポジウムで農業の産業化を論じたりするなど慣習にとらわれない行動派の一面を持つ。

 ある農水省幹部は「案件ごとに方向性を示し、細かいところまで指示を出した奥原氏の時代より、個人の裁量に任せられることが増える」と自由な時代の到来を歓迎する。