人民元は1年ぶりの安値だが、
中国当局は過度な人民元安を容認しないと予測

 中国人民銀行は7月25日、人民元の基準値を対ドルで1ドル=6.8040元と発表しました。2017年6月末以来およそ1年ぶりの元安水準です。為替市場では、中国当局が人民元安を容認しているとの観測が人民元売りに拍車をかけているようです。

 しかしながら、人民元安の進行は、中国からの資本流出を加速させ、国内経済に悪影響を及ぼすというマイナスの面があります。そのため、中国当局は、本格的な資本流出につながる、過度な人民元安は容認しないと思われます。なお、直近で中国当局が人民元安修正の姿勢を示したのは、2017年1月と6月でした。当時の水準は1ドル=6.8~6.9元台でしたので、人民元安の下値目途は、現状水準辺りからが意識されやすいと考えられます。

 人民元が安値を付けるなかでも、中国株式は政府の景気刺激策を受けて、大きく反発しました。上海総合株価指数は、米中貿易摩擦の激化や景気減速を嫌気して、一時年初の高値から2割以上下落しましたが、ここにきて底入れの動きが出てきました。

「チャイナショック」再来の可能性は低い

 以上みてきたように、現状の中国経済は2015年8月当時よりも安定しており、中国政府が機動的に財政政策を発動し景気の安定を優先する姿勢を示していることから、今後も底堅く推移するとみています。

 貿易摩擦問題については、米中が自国経済に大きな影響が出ない程度に関税を引き上げて、現実的な落としどころをみつけていくという展開を見込んでいますが、現状程度の内容であれば過度に悲観する必要はないと考えています。

 また、人民元の下落についても、中国当局は、本格的な資本流出につながるような人民元安を容認しないとみています。株式市場も底入れの動きを見せ始めました。こうしたことを踏まえると、「チャイナショック」が再び起こる可能性は低いと考えています。

(三井住友アセットマネジメント 調査部 石井康之)