再選をめざすオバマ大統領に挑むミット・ロムニー氏とはどんな人物なのか。投資会社重役やマサチューセッツ州知事などを経て、経営の手腕は評価されているが、一方で「金持ち臭くて人間味がない」との批判も多い。しかも敬虔なモルモン教徒で、キリスト教保守派から嫌われている。最新の世論調査では「オバマ氏有利」の結果も出ているが、はたして本選ではどうなるか。過去の大統領選で選挙対策顧問などを務め、米国の政治、選挙の舞台裏を知り抜いているウィリアム・ガルストン博士に聞いた。(聞き手・ジャーナリスト 矢部武)
モルモン教徒でも
共和党は結束する
――予備選で2番手につけていたリック・サントラム元上院議員が撤退したことで、共和党候補はミット・ロムニー氏に決まったとみていいのですか。
正式には8月の共和党全国大会で、過半数の代議員を獲得してからになるが、ロムニー氏が共和党候補になるのは間違いない。サントラム氏の突然の撤退表明は驚きだったが、本人の説明では前回のウィスコンシン州などの敗北で資金が集まらなくなり、続けられなくなったということだ。返済に何年もかかるような莫大な借金をかかえる前に、撤退した方がよいと判断したのでしょう。
――これまでサントラム氏を支持していたティーパーティ(茶会)は、ロムニー氏を支持しますか。
支持すると思う。茶会のメンバーは共和党だから。たとえロムニー氏を好きになれなくても、オバマ大統領の再選阻止という究極の目的のために、共和党は結束するでしょう。