アイデア3 「危険をイメージしやすくする」
いくら情報を得ても、なかなか自分の危険をイメージしにくいのも事実です。以前も書きましたが、
■これは逃げたくなる!100mm/時の雨の重さってどのくらい?車が水没した時、割れやすいのはどこのガラス?
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1892
講演中に「1時間に100ミリの雨だったら逃げますか?50ミリでは?30ミリは?」と聞いても、「?」という顔をされる方は多いです。なぜかというと、単位がミリなんです。かなりしょぼそうに思えますよね。そこで講演では、荒木健太郎さんが作ったイラストを紹介しています。これ、こどもたちの受けがすごくよくて。園児なんて、前まで見に来てくれたりするんです。1時間に100ミリの雨とは…。
1m×1mに、1時間に1回100キロの小ぶりな力士が1人落ちてくるのと一緒。この迫力の画像を見ると、これは逃げるべきって思ってくださる方は多くて、みなさんカメラで撮影されて情報をお持ち帰りされます。お子さんにも伝えたくなりますよね!
こちらは水の重さを力士に換算しているので、もちろん一瞬で力士たちが降ってくるわけではないですが、低地に流れ、土壌に浸透し、浸水や河川氾濫、土砂災害に結びつく、そんなことをイメージしていただければと思います。
そして講演では、1時間に50ミリで避難勧告、避難指示がでるかもしれない。でも、1時間に30ミリでも、子どもや介護が必要な方がいるなど避難に時間がかかるのであれば、早めに避難するべきとお伝えしています。
なぜなら、水の力はとても強いので人が簡単に制御できないからです。膝より深ければ体ごと流される危険があります。それ以下でも流れが早ければ、流れの速さ×2乗の力がかかる動水圧により、見た目より強い力がかかるので流されやすいからです。
■川の水難事故に、泳ぎのうまいへたは全く関係ない!? 海のアドバイスは川では使えません!川遊びのライフジャケットはシートベルトと同じくらい重要
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1917
岡山で講演した時に参加してくれた中学生がこの力士のスライドを覚えていてくれて、大雨情報を見ている最中、「力士だ!」と声をだしてくれたそうです。その家族はみなさん早めに避難してくださっていました。