諸刃の剣になる「コミ戦」
露骨だとイメージダウンに

 安倍政権の「コミ戦」は、この記者会見以外にも、国会の会期末で見られた。

 6月29日には、野党が強く反対する「働き方改革関連法」が参議院の本会議で採決されたが、この日もまたワールドカップで日本が決勝トーナメントへの進出を決めた翌日であった。各局がサッカー一色になることを予想し、少しでも採決の場面が報道されないようにこの日を狙ったのだろう。

 ワールドカップはもちろん、突発的に起きる災害ですら利用する官邸主導の「コミ戦」。だが、あまりにも世間から露骨に見えてしまうと、結果的にイメージダウンを招く場合もありうる。

「コミュニケーション戦略は、うまくハマれば効果的だが、やり過ぎて失敗すると、マイナスイメージを拡散してしまう。いわば諸刃の剣とも言えるわけです」(外資系広告代理店代表)

 実際、今回の記者会見は、各方面からさまざまな批判を浴びている。野党議員はもちろん、評論家や有識者、タレントなどから「ワールドカップを利用して隙をつくのは卑怯」、「地震直後なんだから延期するべき」との発言が飛び出している。

 また、200人を超える死者を出した西日本豪雨でも、「赤坂自民亭」の開催をはじめとする初期対応が批判を受け、安倍首相は、現地視察をおこなうなど挽回に躍起だが、国民の一部からはパフォーマンスと見透かされてしまっている。

 小泉純一郎元首相による郵政解散以降、マスコミにどう報じられるのかを意識した政権による「コミ戦」は活発になる一方だ。今後も、政治スキャンダルや国民生活に関わる重要法案の報道のされ方に強い注意を払っていく必要があるだろう。