外資系高級ホテルで働いていた実話をもとにした物語『天国おじい』では、成功を焦るあまりに借金漬けにおちいった青年の人生がその後どう展開していったかを描いています。
真面目に働いていたはずなのに、思いがけない失業で借金を重ね、起業しようとするも資金を持ち逃げされて無一文となり、おまけに原因不明の皮膚病にかかったりで仕事もままならず……。
そこで人生一発逆転を狙って、自己啓発やスピリチュアルにはまりまくったタイチ。
しかし、おかげで人生が好転するどころか、借金してまでセミナーなどに通いつめ、つぎ込んだ結果、借金は600万円にまでふくれ上がった!
「頑張れば結果が出るなんてウソだし、人生は不平等だ!」
そんなこんなで八方ふさがりになった主人公・タイチに、ある日突然、あり得ないことが起こり、以来、人生が好転していくことになったのです。
そのあり得ないこととは……死んだ祖父「おじい」の声が聞こえてきたのです!
その声は折に触れ、タイチの質問に答え、叱咤激励してくれるようになりました。
アルバイト先の高級ホテルで本当に出会った、本物のお金持ちたちとのエピソードなど興味深い話が随所に織り込まれた物語は、読むだけで人生を好転させるために必要なことが理解できます。
今回は、本には収録しきなかったエピソードを紹介します(初出:2018年8月4日)

本物のお金持ちファッションとは?

高級ホテルにやって来る本物のお金持ちのファッションには、こんな意外な特徴があった!【書籍オンライン編集部セレクション】石川大智(いしかわ・たいち)
1975年生まれ。設計職として企業に就職するも自己啓発やスピリチュアル関連のセミナーや講座に通いつめ借金を重ね始める。2008年、リーマンショックの影響で失業。知人の裏切り、原因不明の皮膚病などの不運に次々見舞われ、さらに増える借金に行き詰まっていたところ、「成功するにはお金持ちの実態を知ればいい」と思いつき、2010年より外資系高級ホテルでアルバイトを始める。そこでのお金持ちたちの実態に、それまで信じてきた自己啓発やスピリチュアルのノウハウに疑問を持ち始めたところ、2011年、死んだ祖父との対話が突然始まる。この対話を紹介したブログがライブドアブログ「哲学・思想」カテゴリ1位を獲得。2016年にホテルを辞め、現在はかつての自分のように人生に悩む人々を対象にカウンセラーとして個人セッションやセミナーなどを主宰している。〔イラスト:©shoyu〕

『天国おじい』では、とてつもない成功者のオーラを放っていた某外資系企業のオーナー、メリックさまのファッションの意外性を紹介していますが、ボクが約1000人の億万長者と呼べるお客さまたちと接した中で意外だったのが、本物のお金持ちこそオーソドックスなファッションを着こなしていることでした。

 ジーンズにポロシャツ、Tシャツとスニーカー、ごくシンプルなスーツやワンピースといった感じです。
 女性の場合、おしゃれとしてアクセサリーを身につけていることがありますが、男性の場合はアクセサリーなどまったくつけていないことがほとんどでした。

 それにひきかえ、成功者を目指していたボクはといえば、ストールを首に巻き、何枚も重ね着してはアクセサリーをごちゃごちゃとつけたり、髪を伸ばしたりと、思い返せば恥ずかしいことばかり。
 ボクの場合は、成功しているわけでもないのに、「成功者はこうだろう」という、どこかで見た真偽の定かでない情報からの発想と、「どういう存在として見られたいか?」という不安からくる虚栄心で自分に合わない服装をしていたにすぎません。
 ですから、本物のお金持ちが実にシンプルな服装をしていることは良い意味で衝撃でした。
 数珠やパワーストーンなど、いわゆるスピリチュアルアイテムを身につけていないのにもビックリ!

 ボクが実際に接した、本物といえるお金持ちの方々に限っての、服装とその着こなしの特徴を簡単にまとめてみると、次の4つになります。

(1)スーツ、あるいはジャケット
 ビジネスでお泊まりになるケースが多かったこともあるでしょうが、やはりスーツを着ている方が多かったです。
 ネクタイをしていなくてもジャケットを着ている方が多く、ワイシャツも白やブルーといったところです。
 最近はワイシャツでも凝っていておしゃれなものがありますが、一番シンプルなものを着用している印象でした。参考になるのは、各国の首脳陣のスーツファッションでしょうか。奇をてらったようなものはまず着ていません。

(2)ジーンズにポロシャツ、あるいはTシャツ
 このスタイルもかなり多く見かけました。
 たとえ着古された洗いざらしの感はあっても、破けたりしているものは着ません。
 ちなみに、夜にお部屋でくつろがれている時に着古されたシャツやパーカーを着ている方はよくお見かけしました。モノを大切に、かつ使えるならずっと使うという、モノを大切にしている姿勢がうかがえます。