中国で頻繁に耳にする
中国版経営パートナー制度
しばらく前、中国に進出した日系企業に就職し、その子会社の責任者となった30代の中国人のL君が、会社経営者の友人の紹介で会いに来た。
東京に本社を置くその会社は日本の大手で、社名を言えば知らない人はまずはいないと思うほど巨大かつ有名な会社だ。その子会社は親会社の一分野の事業を、中国で展開している。しかし、進出から10年が経過したにもかかわらず、売上額は一向に伸びず、従業員の士気も低い。会社を辞めていく従業員も増えている。
会社の将来を憂えた多L君は、中国の現地法人に「合〓人(〓の文字はにんべんに“火”)」制度を導入したいという構想を本社に提案しようとした。しかし、本社に提案したら、どんな反応が返ってくるかが読めないからと、私に相談しに来たのだ。
L君が言う「合〓人」という言葉は、そのまま訳すとパートナーになるが、ここでは共同経営者を意味していた。昨今の中国では、耳にする頻度が非常に高い言葉の一つだ。
分かりやすくいえば、会社の株式の一部を無料ないし非常に安い価格で会社のキーパーソンと思われる幹部社員や主力メンバーに譲ることで、共同経営者になってもらおうというもの。会社経営の利益を享受できると同時に、経営の責任もきちんと負ってもらおうという“激励策”だ。