新しいことを始めたい、だけどなかなか始められない。そう思っている人のやらない理由を、一つずつ消していってくれる一冊だ。
水代 優、KADOKAWA、240ページ
著者の水代優さんは、日本橋浜町にHama Houseというブックカフェを作ったり、最近では丸の内にMarunouchi Happ.stand&galleryというPOP UP GALLERYを作った人物だ。とはいっても、何をやっている人なのか一言で説明するのがなかなか難しい。本当に先鋭的なアクションというのは言葉で説明されても理解しづらいが、その場を訪れ直接体験してみるとなるほどと思うことが多いものだ。
しかしそんな水代さんの第一歩も、出来上がったものからは想像できないくらい小さなことから始まった。本書は、それを実現するための思考回路が余すところなく収められた一冊である。時代からくる必然性、動き出すことに対するリスクの勘案、続けるためのノウハウ等、読み手の「でもさ?」という声が聞こえていたかのように、一つずつアンサーを打ち返してくる。
秀逸だと思うのは、今すぐ動く必要に迫られているわけではない「普通の会社員」をターゲットに設定している点だ。会社員であるうちこそ、会社という本拠地を使い倒し、次の本拠地を見つけるべきである。そんなメッセージを届けられるのも、「小さく動く」という前提に立っているからこそだ。
“ジェネラリスト型会社員こそは、最強のスモール・スターター候補なのです。”
“重要だけれども、緊急度が低いという理由で後回しにされていることは、世の中のあちこちにあります。会社の中には溢れかえっています。だから、会社の中にいながら、そういったことに取り組んでいると、経験が積めて、実績となり、多くの人から頼られる存在になれるはずです。”
“45歳で気が付いて、5年間準備して、50歳で実行。悪くないプランだと思います。”