大阪メトロの運輸収入は
東急や阪急・阪神を上回る!

 鉄道事業会計規則では、鉄道事業営業収益は旅客運輸収入、貨物運輸収入、鉄道線路使用料収入、鉄道線路譲渡収入、運輸雑収に区分すると定められており、運輸雑収には鉄道施設内の広告料収入が含まれる。

 大阪メトロは関連事業拡大のけん引役として広告事業に大きな期待を寄せており、2017年度の売上高44億円、営業利益39億円を、2024年度には売上高95億円、営業利益50億円まで拡大させたいと意気込むが、計画のメニューを見る限りでは「車内広告プランの改定」や「駅にデジタルサイネージやパノラマビジョンを設置」とあることから、本来は鉄道事業収入に計上されるものであるはずだ。

 事業の内容を分かりやすく示すためにセグメントごとに整理をしたということだろうが、他社の決算と比較する際には注意が必要となる。また今後の決算上の取り扱いも気になるところだ。

 これを踏まえて2017年度の営業成績を再計算すると、鉄道事業以外が占める割合は、連結売上高で12%、連結営業利益で4%にまで低下する。ちなみに大手私鉄の連結売上高に占める鉄道事業以外の割合はおおむね70~75%、グループ規模が大きい東急、近鉄、阪急・阪神では85%前後である。

 では、大阪メトロの前途は険しいものになるのだろうか。

 実は鉄道事業の収益性は、事業展開の広さや売上高では測ることができない。鉄道経営を支えているものこそ、本業の鉄道なのである。そしてそれこそが、大阪メトロの大きな強みとなる。

 大手私鉄グループを見比べてみると、その収益構造は「鉄道とバスを中核とする交通事業」と「不動産事業(主に沿線宅地開発。ホテル・リゾート開発などは含まない)」に大きく依存している。大手私鉄の連結売上高に占める交通事業・不動産事業の割合は、グループの事業規模により30%~60%とバラつきがあるが、連結営業利益に占める割合はいずれの会社も70~80%になる。

 大阪メトロや東京メトロは沿線の宅地開発を目的とした不動産事業を持たないが、膨大な利用者を誇る鉄道網を有している。大阪メトロは昨年、鉄道事業で385億円の営業利益を計上しており、これは東急や阪急・阪神を上回る規模である。この豊富な資金を成長分野に投資できれば、大きな可能性があるのは間違いない。

 とはいえ、100年前後の歴史を持つ私鉄ですら苦労しているのに、半年前まで市営地下鉄だった組織が突然うまくやれるわけがない。当面は社内体制の構築やグループ会社の再編を進めるとともに、ノウハウを持つ既存事業者と連携して事業展開を進めることになる。当然事業展開も新しい経営資源を取得するのではなく、手元の資産を活用するだろう。