『週刊ダイヤモンド』2018年8月11・18日合併特大号の第一特集は「2018年版 決算書100本ノック!」。特集の発売に合わせた特設サイトでは過去の財務特集の人気記事や漫画などを無料で公開。今回は2018年3月3日号「現場で役立つ会計力」から。立ち食いフレンチのコスト構造を外食チェーン「俺の」の実例により解剖する。白衣を着た一流シェフは、包丁を置き、コック帽を脱いで調理場を出ると、パソコンで店の数字を見始めた。彼は“会計シェフ”だったのだ。(掲載される数字は全て雑誌発売時点のもの)

 高級フレンチレストラン「シェ松尾・松濤レストラン」などで修業を積み、「シェ松尾・青山サロン」で料理長を務めた布川鉄英は、外食チェーン「俺の」に籍を移した後で戸惑っていた。

 立ち食いスタイルにすることで、一流シェフによる高級食材を使った料理をリーズナブルな値段で食べられる。そんなコンセプトで展開を始めた「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」などの「俺の~」シリーズは、連日店の前に行列ができるなど大旋風を巻き起こした。

 ただ、布川が戸惑っていたのは、この革新的な店舗スタイルではなかった。

 2013年10月に「俺のフレンチ」の1号店である銀座本店の料理長に任命されると、「俺の」の社長、坂本孝に料理人人生の常識を覆すことを求められたからだ。

 その一つが、店の損益計算書(PL)の責任を持つように言われたことだ。

 毎月の売り上げ目標値を店長と相談して決定し、客単価を幾らにするかを決めると、それを達成するのに必要な集客数が決まる。それを実現するにはどのような施策を打てばいいか。フードやドリンクの原価率はどうする。人件費は幾らだ。そんなことを毎月考えながら、料理長として調理場に立つことになった。

 次の表は、本誌が取材で入手した実際の店舗PLの一覧表だ。