27歳のとき、自分でコツコツ貯めてきた貯金を使って、私立大学に入学した。しかし、年々学費が値上がりするため、中退せざるを得なかった。バイトも辞めた。

 絶望的な気分に襲われ、親に仕送りをお願いした。どこかに行き場所が欲しかった。

「昔から、環境問題に興味があった。お金を稼ぐことはできないけれど、ボランティアならできるかもしれない」

 そう思って、環境保護団体でボランティア活動を始めた。

「社会と関係性を絶ってしまうのが怖かったんです」

「引きこもり」と名乗ると
白い目で見られそう……

 環境保護団体で、会報を封筒に入れるような微々たることでも、充実感を得られた。

「団体に応募するとき、職業欄に“派遣社員”と書いたんです。引きこもっていると言うと、白い目で見られそうだったので……」

 ちなみに、当事者の多くは正直で、ウソをつけないタイプが多い。だから、頼まれると断れずに気疲れして、そうしたことを回避するために引きこもらざるを得なくなる。

 二条さんは、この無償ボランティア活動を通じて、妻になる女性と知り合った。彼女は、会社に勤めていた。最初は二条さんのことを会社員だと思い込んでいた彼女から、「食事に行こう」と誘われた。