イケアとのコラボ住宅は
北欧の家庭のようなキッチンに

 その一方で、畳は麻畳、台所はカウンターキッチン等に変更。白を基調に、シンプルで清潔感のある“無印”流のたたずまいも忘れていない。コストを抑えつつ、「組み合わせキッチン」や「麻畳」など、共同開発した商品も誕生させた。

 完全に団地の色を消すのではなく、新しい魅力を作る。近年、古民家など味のある物件に注目が集まっているように、新旧織り交ぜたその絶妙なバランスが若い世代の取り込みにも一役買っているようだ。それはイケアとのコラボレーションでも同様である。

「『イケアとURに住もう。』プロジェクトでは、デザインと機能性を兼ね備えたイケアのキッチンを採用した住戸を提供しています。 例えば 、北欧の家庭を訪れたかのようなカントリー調のキッチンを採用する等して、多様なニーズにマッチするようなキッチンスペースとなるように工夫しています」

 前述したように1970年代、高度経済成長期における団地は、人々の憧れの住まいだった。そもそも「団地」の語源は、住宅営団が1930年代に進めていたプロジェクト「労務者向集団住宅地計画」から来ているといわれている。「団地」とは「集団住宅地」の略称だったわけだ。

 生活や物流の効率化のために一区画に建設された団地は、1955年に設立された日本住宅公団によって建設が始まり、1957年にはステンレス流し台、1964年には風呂釜を誕生させるなど、戦後の日本の暮らしのスタンダードとして常に歩んできた。

 その証拠に1960年版の「国民生活白書」には、団地に住む“団地族”と呼ばれる人々は、年齢の割に所得水準が高く、一流の大企業や官公庁に勤めるインテリで、世間の羨望を集める存在だったと記されている。