きょうだいで不動産を「共有」するのはNG!

 相続がモメる大きな理由の1つに「不動産の共有」があります。

 こんなケースがありました。

 父親が亡くなり、お母さん、長男、長女、次男の3人の子どもが相続することになりました。父親の遺言には、所有しているビルについては長男が4分の3、長女が4分の1相続すること、預貯金は母親と次男で分けなさいと書いてありました。長男は跡継ぎだから少し多めにと考えた、バランスのいい分け方に見えます。そして実際、一次相続のときはモメることなく、遺言通りに相続されました。

 しかし、これで本当にいいのでしょうか。父親が一代目で、3人の子どもたちが二代目のうちは、きょうだい間で話し合いもし、父親の遺言でもあるため、理解があるからまだいいのです。問題は三代目、このきょうだいたちの子どもの代になって、噴出することが多くあります。

 例えば長男、長女、次男にそれぞれ2人の子どもがいるとしましょう。つまり、きょうだいから見ると6人の甥っ子、姪っ子がいることになります。この三代目たちが相続することになったら、長男と長女で共有していたビルはどうなるでしょう。長男に相続されたビルの4分の3を子ども2人が相続、長女に相続されたビル4分の1を子ども2人が相続……もう複雑すぎてわかりませんよね。

 相続というものは、かかわる人間が多ければ多いほど、前に進むのが困難になります。そもそも不動産をきょうだいで共有すると、修繕するにしろ、売るにしろ、みんなの意見が合わないと何も動けません。不動産を共有させる内容の遺言は、財産所有者の親心であることが多いのですが、この親心こそ争いの元になりやすく、子どもからすると正直なところ、将来的に迷惑になってしまうのです。

 ですから、もし共有させるといった遺言があったとしても、その趣旨を踏まえたうえで、分割協議ができるとベストです。先ほどの父親の遺言の例でいえば、まず長男がビルをすべて相続します。その代わり、長男は遺言通り、ビルの4分の1相当の金額を長女に支払います。これを代償金といいます。