有給取ってTDRへ出かけたBと
社員たちとの間に微妙な空気が…

 妻とディズニーリゾートへ出かけたBは、木曜日に出勤すると、社員たちに土産として購入したクッキーを配りながら、旅行中の様子を楽しげに報告した。しかし様子を聞いていた社員たちとの間には微妙な空気が流れていた。

 後日、皆のよそよそしい態度に気づいたBは、A社長に愚痴をこぼした。

「有給を取ってから皆の様子が変なのです。仕事の話やあいさつ程度は普通にしてくれるんですが、仕事が終わった後の雑談やプライベートな誘いは蚊帳の外。これは私が大掃除に参加しなかったからですか?」

 A社長はびっくりしたが、さらにBは続けた。

「これって社長が皆に『社長命令を聞かないBとかかわるな』って言ったからですか?」

 A社長は即座に反論した。

「私はそんなことは言ってない。B君にはこれまで通り若手のリーダーとして頑張ってもらうつもりだよ」

 悩んでいるBを見たA社長は、社員たちに声をかけた。

「みんな、B君とはこれまで通り仲良くつきあってほしい。大掃除の件は直前に日を決めた私が悪かったのだから……」

 しかし、それ以上は何もできなかった。業務上のコミュニケーションは取れており仕事に支障はないため、Bに対する不利益とかパワハラとは言えない。それに社長といえど、社員同士のプライベートなつきあいにまでは関与できない。結局Bと他の社員たちとの関係は変わらず、いたたまれなくなったBは半年後、会社を退職した。

 この状況にA社長は頭を抱えた。良かれと思って大掃除を計画し大成功を収めたが、まさかそのことが原因で社員同士の関係が悪化するとは想像もつかなかった。この件を通じて、改めて労務管理の難しさを痛感したのである。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。